やさしくもなく、いつだって力なく、寂しげに笑っていた
唇をぽかんと開けて、まるでばかみたいに
空の青の一点だけをみつめていた
ひとはそんなきみを浅はかなことばのなかに閉じ込めてしまう、
あまりにもかんたんに
グラスから水がこぼれる、
ガラスの破片が床に飛び散る、
床に水がこぼれる、
それくらいのはやさで、きみのそんざいのすべてをうばってしまう
きみは、なにもいわない
他人を拒絶し精神的に排除しようとするその精神を、
混沌のなかではいきることのできないきみの純潔を、
よわさを、ああどうか
それさえもカッターナイフで切り裂くことができたなら
でも きみのなかにはかみさまがいるんだ
もとめられればきみはきっとなんだってした、
もとめてもらえれば、必要なことば、必死になって探していた、
なんであろうと、受け入れようとしていた
でも、きみはいつもちからなく、寂しげに笑っていた
ことばの裏を必死になってよみときながら、感情の激しい波にのみこまれながら、
死にそうになりながら、でもそれでも笑いながら
やさしいとかやくそくとかそういうことばを軽蔑しながら
教室の中に散らばる、
あるあらゆる正しさや希薄さを軽蔑しながら殺しながら
きみのなかにはかみさまがいるはずなのに
( きみの心臓には、かみさまがいるんだよ )



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