真っ黒い影がとおりすぎる わたしの横を、いくつも、いくつも わたしは何か言葉を発する それはほんとうのことだったり、 じょうだんだったり、 頭に浮かんだちょっとした考えだったり、いろいろ 真っ黒い影は、わたしの言葉に対して、なにも言わない 真っ黒い影は影同士で絶え間なくお喋りを続けている わたしはなんだかおなかがきりきりして、そこから逃げ出したくなる だけど、真っ黒い影がわたしを囲って、抜け出せない 真っ黒い影はわらっている わたしは、なにがおかしくてわらっているのか、 理解できないで、ただただ途方に暮れている 蹲って、真っ黒い影を見ないようにして、意味のないお喋りを、だらだらとつづけている |