もしかしたらぼくは、誰の手の届かない地点まできてしまったのかもしれない
それくらい、とおいところまできてしまったのかもしれない
何億光年、とおいの
それだけきみが、とおくなってしまった
ぼくの視界には、濁りのない澄み切った夜空だけが広がっている
いまはただ、しんと静かな闇のなかを、
まっさかさまに、ゆらりゆらりと、落ちてゆくだけ
落ちてゆく感覚だけが鮮明で、だけど何の音も聞こえないんだ
あたりはただ真っ暗で、しいんと静かで、何も聞こえない
聞こえないってわかってから、
ぼくはなにも言葉を発しなくなり、きみも言葉を発しなくなった、
ぼくがたまに言葉を発しても、きみの耳には、届くことはない たぶん、二度と
銀河鉄道も宇宙船ももうないよ
きみにはもう会えない
ぼくは、もう、(120215)



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