洗練されたい、無駄なものをはぶきたい、いつまでも泥臭くいたくない。つまりは他者から冷たく見えていたい。表面だけがさらわれていく関係なんてまっぴらごめんで、そういう感覚には耐えがたい。膨れ上がる自尊心は、どうしようもなく薄弱なのに。表面をさらわれたところで、どうってことないだろう?だって、どうせふたを開けたって、なかはからっぽなんだから。 成長していくにつれひとに感情を発することを躊躇するようになる。感情を発することは、人を傷つける行為だということを知ったから。本当は、人を傷つけることくらい、きみらにとったらどうってことない。だけど、ひとを傷つけるということは、ひとと深く関係するということだった。きみらの望むように、軽々と心臓の鉛をかわしながら、楽に生きることはできなくなるよ。 きみに発せられるあらゆる言葉には、感情が含まれていない。ひとは表面だけを繕いながら、無関心に繋がっていく。きみの目に見えている世界はいつもこう。あまりにもむなしすぎるさみしいせかい。きみの目に見えているこのせかいに、きみは、むなしさだけしか見いだせない。たぶん誰もきみを身近になんて思っていないよ。きみは、ひとりぼっち。とっつきにくくて、たぶん、異質な存在なんじゃないかと思うよ。きみだけが、変なやつ。きみは、ひとりぼっち。孤独なんだよ。いつまでも。(10.0916)



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